ASC 一般社団法人アリーナスポーツ協議会

一般社団法人大学スポーツコンソーシアムKANSAI 開設記念セッション 鼎談「大学スポーツの未来とビジネスの可能性」

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司会: 大阪商工会議所様との共同開催イベントと致しまして、「大学スポーツコンソーシアムKANSAI 開設記念セッション」を開催いたします。

本日は、産官学、それぞれのお立場の方をお招きしました。

「官」からは、文部科学省スポーツ庁参事官付弁護士の小塩康祐様、「民」からは一般社団法人アリーナスポーツ協議会理事の花内誠様、当会一般社団法人大学スポーツコンソーシアムKANSAI代表理事の伊坂忠夫です。

この3名にて、本日は「大学スポーツの未来とビジネスの可能性」と題し、鼎談をさせていただきます。司会進行は花内様にお願いをしておりますので、ご進行、よろしくお願いします。

花内: こんにちは。アリーナスポーツ協議会の花内でございます。

いまご紹介がありましたように、産学官で鼎談をしようという企画です。今日は、官の立場でスポーツ庁の小塩さんから日本版NCAAの話をお聞きし、学の立場で立命館大学の伊坂先生から関西版NCAAであるKCAAの話とかをお聞きするので、産業界の立場で私がお二人に質問させていただくというスタイルを取ります。

最初に、簡単に5分ずつくらいで、それぞれのお立場からの、いまの大学スポーツの未来とビジネスの可能性について、どんなことが進んでいるのかということを説明させていただきたいと思います。

最初に、まず小塩さん、よろしくお願い致します。

小塩: スポーツ庁の小塩と申します。よろしくお願い致します。本日は、本来は由良参事官が来る予定だったのですが、日大のアメフト問題で、国会対応が続いており、ピンチヒッターを務めさせていただきます。よろしくお願いします。

スポーツ庁ができて、今年の10月で3年になります。スポーツ庁の事業の一つ、目玉事業として、日本版NCAAについて議論を進めてまいりました。

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議論のポイントとして二つあります。

一つ目は、まず新しい組織、日本版NCAAをつくること。いままで大学相互で、大学が課題解決で相互に関係するとか、話し合うとか、協力するような場がなかなかなかったものですから、大きなプラットフォームをつくろうということです。

もう一つが大学スポーツそれ自体の振興ということで、各大学の取り組みをどんどん推進していこうと。関西であれば立命館大学を中心に、多くの大学が中心となってコンソーシアムをつくられていますし、関西・関東に限らず、地方大学でも主体的に大学スポーツを大学に盛り上げていただこうという取り組みを、スポーツ庁も応援しています。

議論の現状を説明させていただきます。来年の2月に日本版NCAAの設立をする予定です。どのような組織にするかにつきまして、まず構成員としては、大学と競技団体を予定しています。競技団体は、協会(NF)というところもありますし、学生連盟というところもありますが、1競技1団体ということで入っていただこうと思っております。そして、企業の皆さまにも、もちろんいろんなかたちで連携・協力をしていただこうと思っています。学産官が連携して、よりよい組織にしようと思っています。

具体的に、どのような活動をするかについては、三つの柱を立てています。

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一つ目に、学業充実。もちろん、プロスポーツの皆さまも先ほどご登壇されて、いろいろご議論されていますが、プロスポーツではなく、大学スポーツということで、学生はしっかり勉強しましょうというところを一つの柱としています。

二つ目が安全・安心。これはプロスポーツも共通ですが、安全に取り組んでこそのスポーツだと。この前の日大のタックル問題もそうですが、安全や安心が担保されないような場合にはスポーツと呼ぶことはできないと、われわれも考えていますので、安全・安心を二つ目の柱とさせていただいています。

三つ目が、事業・マーケティングです。学業充実であるとか安全・安心を、実際にどのように広報していくか、進めていくかというときに、どうしても資金が必要になります。一つの大学でできないことが、集合体となるとできることも多々ありますし、そういうときに、産業界の皆さまからもご協力いただきながら、組織をつくっていく予定であります。

来月、7月から、いよいよ設立準備委員会というものを立ち上げて、組織の骨格と概要を取りまとめます。その中で大学会員としては、200大学程度を予定しています。

昨年度、スポーツ庁で全800大学に向けてアンケート調査を実施したところ、220大学程度に参加意志があるというご回答をいただきました。残り600大学は、決してネガティブというわけではなく、例えば大学によっては体育会がないとか、そもそもスポーツに取り組んでいない大学もかなりあるので、多くの大学に加盟意志を持っていただいているという状況です。

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学連会員としましては、40競技団体にご協力をいただく予定です。もちろんアメフトにも入っていただきたいと思いますし、それ以外、水泳であるとか、陸上、ラグビー、さまざまな競技がありますので、入っていただきたいと思っています。

大きな団体ではなく、いわゆるマイナーといわれる競技の方にも前向きなご意見をいただいていますので、そういう競技団体にも入っていただいて、全体として盛り上げていきたいと思っています。

企業の皆さまには賛助会員として入っていただくことを検討しています。単に応援するというわけではなく、相互連携をしていきながら、企業の皆さまとも協力関係を結べたらなと思っています。

これが、現時点での、最新の日本版NCAAに関する議論の状況です。

花内: 小塩さん、ありがとうございました。

それでは伊坂先生、お願いします。

伊坂: 一般社団法人大学スポーツコンソーシアムKANSAIの代表理事(会長)をしております、伊坂でございます。

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関西の大学を中心として4月10日に一般社団法人として設立いたしました。大学スポーツを取り巻く問題・課題はたくさんございます。その課題を解決しながら大学スポーツを振興して、大学が元気になり、地域が元気になり、そして社会全体が元気となることを願い、いわば社会の公共財となるようなものを目指すということで、一般社団法人をつくりました。

この一般社団法人の設立に向けた議論は、日本版NCAAの話が始まる前か、7、8年ほど前から関西の大学の先生方を中心にスタートしています。やはり日本の大学においても、大学間を横断したような組織が必要じゃないかという議論を重ね、各大学の先生と課題を共有し、今後の方向性を検討しながら、やはり大学スポーツをもう一段押し上げるためには、お互いのネットワークをしっかりやる必要があるだろうということで進めてきました。

そういう議論の経過の中、昨年来、日本版NCAAの創設に向けた議論がスポーツ庁を中心に出てきて、この流れが、関西での検討会の議論を後押ししてくれました。

この一般社団法人の事業の柱は大きく四つです。

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一つ目は、ネットワーク型の大きなプラットフォームをつくりたい。そこには、正会員である大学、そして企業の賛助会員、パートナー会員である学連ですとか、いろんなところとの連携。多様な組織が集合した大きなプラットフォームを仕上げていきたい。

二つ目は、やはり人財育成。どういうかたちで人財を育てるか。それには大学だけではなくて、プラットフォーム全体で人財を育てる。産官学が一体となって人財を育てていく必要があるだろうと。

三つ目が、安全・安心です。これはスポーツ活動を行う上で欠くことができません。そのためのスポーツガバナンスを構築していくというところが三つ目の柱です。

そして四つ目は、そういうプラットフォームやガバナンスをしっかりした上で、さらに大学スポーツの価値向上を目指していくというところになります。そのためには、まず一般学生を含めて自らの大学スポーツ(チーム)を応援する文化を育てていく必要があります。

これは、いま申し上げた一つ目のプラットフォームの図です。少し目玉焼きみたいになっていますが、KCAA(一般社団法人大学スポーツコンソーシアムKANSAIの愛称)の中心に会員大学があります。いま現在加盟いただいている大学は21大学ございます。これからも入っていただけると思いますので、30大学くらいになろうかと思います。

そういう正会員の大学と、周辺に企業、個人、団体。さらにはパートナーとして、自治体や医療機関、競技団体、学連等々が書かれています。本日お集まりの企業の皆さんも大学スポールコンソーシアムKANSAIの賛助会員をご検討いただけたらと思っています。

大学スポーツ、とりわけ関西の大学スポーツが急に盛り上がるのは、なかなか難しいと思いますが、KCAAに加盟していただいた大学のホームゲームで一般学生が応援する・できるということを考えています。その応援文化をどうつくっていくのかということを、お互いの大学でトライをしながら進めていきます。

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このスライドは、KCAA発展のフェーズコントロールを示しています。左下のフェーズ1、真ん中へいくとフェーズ2、右上がフェーズ3となっております。まずは大学スポーツで必要な準備を始める。大学の中で、試合の環境はどうなのか、安全に試合ができるのかということを見ながら、大学間のネットワーキングをはかりながら経験知を共有していきます。

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フェーズ2は、「みる」スポーツとして認知をしてもらいながら、地元からも、企業からも関心を持たれて、大学スポーツを「みる」ということを高めていきたい。

右上のフェーズ3になっていきますと、冒頭にありました産官学連携の中で自治体も巻き込んで、大学スポーツを起点としてひとつの産業としての機能を持つようになったり、産学連携の大きな研究がなされていくということを考えています。

そういう意味で、本日のテーマにありますように、大学スポーツからビジネスへの展開ということがフェーズ3では実現していくという考えです。ですので、すぐに目指すのではなく、フェーズコントロールしながら進めていきたいと考えております。

以上です。

花内: 伊坂先生、ありがとうございます。

最後に産業界として、大学にはきちんと学生を教育して産業界に送り出していただきたいという思いの他に、アメリカのNCAAが、なぜああいうふうに盛り上がっているのか、どうして産業界にも必要とされているのかということを考えていきます。

実は、アメリカのスポーツ界というのは、単純化しますと、こんな三層構造になっています。メジャースポーツがあって、下にマイナースポーツがあるのですが、その中間をNCAAが担っているというかたちになります。

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では、NCAAがどうして産業界にとって重要かと言いますと、全て「みる」スポーツと言いますか、エンターテインメントスポーツというものをメジャースポーツに背負わせてしまうと、社会資本の整備が大変だということです。

先ほどBリーグのチームの方々がここで地域の産業界や行政の方向けに協力を要請されるプレゼンテーションをされていましたが、アメリカですと、大学を本拠地にして戦っているチームですとか、そういうものがプロスポーツの中にもいくつもございます。

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例えば、いまは、ブルックリン・ネッツというチームになっていますが、昔はニュージャージー・ネッツと言いまして、それがラトガーズ大学の体育館を使っていた時代があったり、いまもロサンゼルス・ギャラクシー、ベッカムと言う有名なサッカー選手がいましたが、メジャーリーグサッカーのチームがカリフォルニア州立大学のドミンゲスヒルズ校というキャンパス内にある、スタブハブセンターというサッカー場を本拠地にしてプレーしています。

こういった事例がありましたので、実はBリーグが立ち上がるときに、東京でB1基準である5000人の観客を入れることが可能なアリーナがないという話になって、当時、実業団チームで有力なチームだった日立に青山学院大学を紹介して、大学体育館をホームアリーナに紹介させていただきました。いまは「サンロッカーズ渋谷」というチーム名になっています。

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なかなか5千人基準のアリーナというのは、いま日本でつくっているものも難しいということがありまして、自治体を中心につくっているところがあると思いますが、これを大学も一緒にやっていくことで、いろんなかたちができるんじゃないかと思います。

個人的には、こういうプロチームが大学のキャンパス内をホームにするなんていうのは、日本で初めてのことだろうと思っていたのですが、なんと立命館大学が衣笠キャンパスに、衣笠球場というものがございまして、1950年にプロ野球の太陽ロビンス、松竹ロビンス、洋松ロビンスと名前が変わっていったのですが、本拠地が立命館大学にあったということで、伊坂先生にぎゃふんと言わされました。おまえがやっていることは、もう50年以上前に立命館がやっているんだということでした。

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実際、こういったスポーツの振興をやっていくのに、やはり大学の中でも観客席を備えているところがなかなかないですね。そこに、プロのために観客席をつくるとなると、大学としてはお金が出せない。かといって、プロは観客席がないと興行ができないということがありまして、どうやったら、大学の体育館をアリーナに、あるいは大学のグラウンドをスタジアムに改装することができるだろうか?と考えています。

これをとある銀行さんにお勤めの方にお話ししていましたら、「花内さん、それは面白いね」ということで、ファンドを組んで大学の施設に投融資をして、運営権等で活性化していくアイデアをいただきました。そうすると大学の施設をコンサートで使うことも可能になるでしょう。いまコンサート会場が足りなくて困っているということがありますし、いろんなかたちのスポーツもこれから発展していくことが可能じゃないかと思っています。

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これは、施設の、ストックの適正化という観点から見ても、例えば大学のグラウンドと自治体のグラウンドが二つある。そこに、例えばJリーグのチームがスタジアムをつくりたいと言っているときに、両方ともスタジアム化する必要はないのではないかなと。自治体と大学が協力し合って、片方をスタジアムにして、片方を陸上競技場にする。ただし、そこは大学生も地区住民も一緒に使えるような仕組みを考える。そういうかたちで協力し合いながら、スポーツ全体を活性化していくということが考えられます。

なので、日本版NCAAというのは、大学の中のスポーツをどうするかということではなくて、スポーツ界全体の中で大学にどんな役割をしょってもらうかというのが、産業界側からの意見じゃないかなと思っているということです。

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花内: さて最初、簡単に5分ずつお話をさせていただきました。これからお二人にお話をお聞きしてまいります。事前にお二人には、日本版NCAAとKCAAに対して、ちょっと厳しめの質問を投げておきました。お答えをいただいております。

さて、今日は、皆さん、たぶんこれは避けて通れないだろうと思います。

最初の質問が、日大の悪質タックル問題を受けて、問題が発生した原因は何でしょうと言う質問です。さらに問題の再発を防ぐために、日本版NCAA、またはKCAAが果たす役割は、どんなことが考えられますかという質問もさせていただきました。

ちょっと時間がないので、時系列の説明は、皆さんもご存じだと思いますので飛ばしていきますが、事前に小塩さんの方からお返事をいただいています。小塩さん、簡単にまず説明をお願い致します。

小塩: 皆さんもご存じの問題になります。実際、私は三つ原因があると思っています。指導者の問題、学生の問題、大学の管理の問題になります。

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私も、大学までラグビーをしていました。試合前に円陣を組んで、監督やコーチから「刺さってこい」とか「相手を倒してこい」とか、そういうふうに学生を鼓舞して、学生も、気持ちを高めて試合に臨むということは実際にありました。いまでも別に日大に限らず、ある現象の一つだと思っています。

ただ、今回は、指導者が実際に相手選手をケガさせることを目的として指示又は黙示の指示をして、学生を追い詰める環境をつくってしまった。それは、やはりいまの学生の現状を把握できないまま、そういう指導をしてしまった。そのことが原因の一つだと思います。

あとは学生も、それを全て正しいと思い込んで盲目的に、本当にけがをさせなきゃいけないと思ってしまい、あのようなプレーをしたことも大きな問題です。学生も20歳を超えている成人なので、正しい判断をしなければならない一人だったと私は思います。その二つの原因が主にあります。

それは、日本版NCAAもKCAAもそうなのですが、しっかり両者の質を高めていくための指導や研修をしっかりしていく必要があると思っています。

もう一つの原因は、大学が部活を管理できていなかったです。日大の学長を含めて、スポーツ庁にもいらっしゃって、私もお話しさせていただきましたが、この期に及んでも大学の問題と捉えられていないと感じました。 大学にとって、部活はあくまで課外活動で、部活は学生が勝手にやっている活動だと。誰が監督・コーチをしているのかすら把握していない状況もあります。そういった根本の管理体制が、このような大きな問題を招いてしまったのではないかと思います。

立命館大学のようにSAを設置する等して、大学として部活動をしっかり管理をする大学が、スポーツ庁としても増えていくことを願っておりますし、それを全面的にバックアップさせていただければと思っています。

花内: いま立命館のスポーツアドミニストレーターの話が出ましたが、伊坂先生の方からお願いします。

伊坂: 本校にはスポーツアドミニストレーター(SA)という役割(担当者)があって、いま司会をやってくれています斉藤さんもSAの一人です。主な役割は各クラブを回りながらコミュニケーションしていくわけです。日常的に監督やコーチ、選手たちと顔を見ながら接点を持っているということが一番重要だと思います。

何も監督を指導するというわけではなくて、そういうコミュニケーションの中で問題を未然に防いでいく。そして困ったことに対して対処できるということが大事になります。

花内: 引き続き、すみません、事前の質問についてもお答えをお願いします。

伊坂: やはりコンプライアンスをどう捉えるかということです。一番大きいのは、クラブ風土ですとか、土壌をどう変えていくのかということだと思います。

このような問題に対して、われわれKCAAでは、コンプライアンス教育をどう徹底するのか、が問われます。スポーツ法学会で研究されておられます先生にも理事に入っていただきましたし、各大学でコンプライアンス教育がされているところの協力をしながら進めていくこと、それを徹底していくということです。お互いが手を携えながら、そして共に啓発していくということが大事なことです。

もう一つは、目指すべきアスリート像をきちんと示すこと。ここには書ききれなかったのですが、もう一つは、目指すべき指導者像を掲げるということまで考えていきたいと思っています。

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花内: ありがとうございます。

私の方からは、経産省が数年前に発表した若手プロジェクトで、本にもなりましたが、「不安な個人、立ちすくむ国家」という、経産省のホームページでダウンロードできるのですが、この中に、ちょっと見にくいのですが、赤丸で囲った部分。つまり三角形のヒエラルキー、ピラミッドがいっぱいある組織が、昔は権威が規律だということです。昔の社会は、こうでしたと。

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いまは、ここから個人中心で、もちろん三角形もヒエラルキーも残っているのですが、そうじゃなくて、いわゆる携帯やスマホを持ったネットワーク型の社会に変わってきている。これは、もう産業界では皆さんも当たり前のことだと思います。やはり大学という場所で、特に体育会という場所で、なかなか三角形が残ったままになっていたんじゃないかなと。いまは、まさに分岐点に差し掛かっているなと思います。

ここから経産省も道を二つ示しているわけですが、権威へ回帰するのか。これから日本版NCAAがどういうかたちでつくられるのかというのは、私たちは楽しみにしているわけですが、これが三角形型でつくられるとなると、ひょっとすると、また権威への回帰で、三角形の上にまた三角形をつくることになってしまうのかなと。

そうではなくて、ネットワーク型の組織化を、日本版NCAA、それからもう出来上がっているKCAAは、ぜひ目指していただきたいと思っています。いま産業界は、そういうピラミッド型の社会、会社がなくなってきているので、新しいネットワーク型の人間を大学のスポーツ会でつくっていただいて、その人たちを社会に受け入れていきたいと考えているところです。

大学の中でも、いまお二人が指導者として注目されているわけですが、青学の駅伝の原監督ですね。それからラグビーの帝京の岩出監督。両方とも極めて強いチームをつくられているけれども、共通されているのは、二人とも部の運営をピラミッド型でやっていないということです。逆ピラミッド型にして、上級生が下級生の面倒を見るのが当たり前であると。サーバント型リーダーシップという表現を取ったりしていますが、こういうかたちがいま求められているのではないかと思っています。

日大問題については、以上です。

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花内: 二つ目は、実際にいまお話をしている日本版NCAAやKCAAというものは、産業界とどんな関わりがあるのでしょうかと。日本版NCAA側から期待していることはどんなことでしょう。産業界は、それにどんな影響を受けるのでしょうかということを、これも先に質問をさせていただいています。

最初に小塩さんの方からお願い致します。

小塩: 大学スポーツに限らないですが、企業の皆さまにとって、スポーツというと、やはりCSRの活動として捉えられていることが多いと思っています。

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ただ、CSR活動の一環で、われわれをご支援いただく体制ですと、たぶん持続可能にはならないのではないかと思っています。

今日、1部でご登壇いただいた企業の皆さまのお話も伺った中で、やはり、例えばですが、NCAAというプラットフォームができるので、200大学の学生、体育会の学生のデータが集まる組織になります。そのデータを活用していただくことで、企業の皆さまにとって何かわれわれがメリットを提供できる。その代わりに企業の皆さまから、寄付ということではなく協賛金とかスポンサーシップをいただくということも、一つのビジネスモデルになるのかなと思っています。

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また、先ほど花内さんのおっしゃったとおり、大学の施設をどんどん有効利用していただくことで、大学と民間の接点が増えていくのではないかと思っています。

花内: 伊坂先生、お願い致します。

伊坂: 私の方は、やはり大学スポーツを通じて、企業、自治体、OBOG、地元の方々に大学を見ていただくということだと思います。もちろん、大学スポーツをされていた経験されたOBOGの方が企業にはおられますので、そのようなOBOGを含めて社会人の方にもする側にも回ってほしいなと思っています。

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そのときに大学に担ってもらうことは、社会人、OBOGの「する」場面も提供しながら、大学スポーツを「みる」そして「ささえる」に回ってもらえるような仕掛けをつくってもらうことです。そして、大学スポーツを入り口として大学自体を深く知っていただいて、そしてもっと大学を発展させるためにもサポートしていただく。そんな関係性ができるとありがたいと思っています。

そういう意味でも、大学スポーツは大きなきっかけになると思います。大学スポーツコンソーシアムKANSAIもスポーツで関西を元気に、ということをビジョンとして持っております。ぜひ、企業の皆さん方に参加していただいて、盛り上げていただければというのが今日の大きな趣旨でございます。

その上で、さらには地域を巻き込んでいただいて、大学と企業と地域が一体となったコミュニティーができあがる。そしてそのコミュニティーが安全・安心なコミュニティーになる。そういうところまで目指していきたいと思っています。

花内: ありがとうございます。

私の方からは、基本的な指導者と体育会学生が部として指導者と学生というかたちを取っていて、いろんな部が30から50ぐらいあります。これをまずきちんと横でつなげていただきたいと。

日大の問題もそうですが、アメフト部の学生が他の部の学生ときちんと交流していれば、「いや、おまえ、それはおかしいよ」ということがあったかもしれない。なかったかもしれないですけど、一つのそういうグループをきちんとつくってほしいということが第一です。

これがまずあった上で、一般学生をちゃんと巻き込んでいただきたい。一般学生がぐるっと一緒になって大学全体を応援する。これがないと、やっぱり産業界としても、ユニフォームだとか体育保険、スポーツ保険のセールスだとかは、体育会学生相手に商売すればいいかもしれませんが、ビジネスとすると、基本的には一般学生をちゃんと巻き込んでいただきたい。

それからOBですね。先ほども伊坂先生からありましたが、関関戦や同立戦のときに、試合の前にできればOB関関戦とかOB同立戦をぜひやっていただきたいなと思います。OBも、部ごとのOBではなくて、大学の中できちんとOB会がつながっていただきたい。OB会の連合体になっていく。だんだんコミュニティーが広くなっていく。

それから、日大の問題で今回注目されたのが、大学には父母会がありますから、父母会にもきちっとつながっていただきたい。父母会も含めて大学全体がコミュニティーになっていく。

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こういう大きなコミュニティーがあって、しかもこれが、これは一つの大学なので、いくつもの大学が、この大きなぐるぐるの丸がつながっていく。この大きな丸に対してアクティベーションができるということになると、これは産業界としても、なかなか捨てがたいマーケットじゃないかなと。大学組織の人間、それから大学の父母の人間。それはなかなか購買力の高い層でしょうし、いろんな商品を、そこに売っていくことができるのではないかと。

ただ、いまは大学スポーツのレベルでいうと、まだ1・0のレベル、体育会学生しかターゲットにできていないというのが、いまの大学スポーツの現状なので、早く、まず2・0、一般学生も含めたかたちにしていただいて、3・0、OB・父兄、それから4・0の地域住民まで巻き込んだ上で、大きなアクティベーションのできるマーケットになっていただけると、産業界として十二分に一緒にやっていける。

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これをまずKCAAができている大阪で皆さんが一緒にやっていただけると、日本をリードする大学スポーツが大阪を元気にする事例になるのではないかと期待しているということであります。

本当は、もう少し3人でいろいろな話をしたかったのですが、30分でちょっと押してしまったので、もう終わりですかね。(司会から終了の合図)すみません、もう終わりだということなので、ご質問等にも答えたかったのですが、すみません。取りあえず私たちの方からは、以上とさせていただきます。ありがとうございます。

(終了)

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